初恋図鑑【完】


『……はぁ…』


何故だろう…?


あれから何度か練習したのだが、どうしても私と五十嵐くんのバトンパスが成功しない。



『あぁ〜もうこんな時間だよ!そろそろ帰らないと』



早苗先輩が慌てたように声をあげた。



『…そうだな…練習は、明日もあるしな』


ちらりと時計を見た拓真先輩も早苗先輩に同意していた。



結局この日の練習では、一度も成功しなかったバトンパスの練習も明日に持ち越しになりそうだ。



『あ、あのさ、みんなでアドレス交換しません!?いざという時にすぐ、連絡もできるし。』


そう言って、愛先輩がにこりと笑みを浮かべる。



『おっ、いいね〜じゃあ、心ちんに五十嵐くん教えて〜』


愛先輩の提案に賛成した早苗先輩がすぐさま、携帯を持って近づいてきた。



『あっ!はい』



『あっ、私も心ちゃん!五十嵐くん、教えてね!あと、拓真先輩も!』



私の返事を聞いたあと、ニコニコしながら愛先輩も近づいてくる。


『も、って…オレは、おまけかよ…!』


若干落ち込みながらも拓真先輩も携帯を取り出していた。



『心ちゃん!オレも』



翔先輩も楽しそうに携帯をゆらしていた。




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