初恋図鑑【完】
『なぁ、五十嵐』
練習が終わり、1人で休んでいる時だった。
オレが翔先輩に声をかけられたのは…。
『なんですか…?』
オレの問いかけにニコリと爽やかな笑みを浮かべる先輩。
『心ちゃんって、お前の彼女?』
終始、笑みを崩すことなく、翔先輩はあっけからんとそう言い放った。
『……何が言いたいんですか…?』
心なしかオレの声も低くなる。
『ん?別に?意味はないけど??まぁ、かわいいなってさ』
『…アイツは、オレのです』
『ふ〜ん?じゃあ、やっぱり付き合ってんだ?』
『……』
黙り込むオレを嘲笑うかのように翔先輩は、オレが一番恐れていた言葉を口に出す。
『別に彼女ってわけじゃないんだ?じゃあ……心ちゃん、オレがもらうよ?』
心底楽しそうにわらう翔先輩にイライラが増した。