初恋図鑑【完】
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次の日、私は、放課後のリレーの練習を休んだ。
さすがに学校には来たけど……今は、練習できる状態じゃない。
『心…大丈夫だよ…つらかったね…』
真理には昨日のうちに連絡した。
どうしても…私1人では抱えきれなかったのだ。
『…ゴメン…真理…』
私がそう呟くと、真理はふるふると首を横にふった。
『あやまるのは…私の方。ファミレスの時…お節介やいて2人きりにしたこと…今は後悔してる…あの時は、心がまだ五十嵐くんのこと好きなんじゃないかなって思ってて……ゴメンね…』
目に涙を浮かべる真理。
『ううん…あやまらないで…五十嵐くんのこと好きだったのは本当だし……あの時は…楽しかった…久しぶりにたくさん話せて。前に進めたのは、真理のおかげ…ありがとう』
私は、にこっと微笑んだ。
すると、真理は何かを決心したように口を開いた。
『お節介かもしれないけど……心……本当にいいの?五十嵐くんのこと……まだ…好きなんじゃないの??』
心配そうに…私を見つめて真理はそう言った。
『ありがとう…真理…。うん…たぶん、まだ好きだと思うよ…でも…今は……どうしたらいいかわからなくなっちゃって………五十嵐くんが…わからないの…』
そう言って、顔を伏せた私の頭をを真理は優しく撫でてくれた。