初恋図鑑【完】
心はしばらく呆然とした様子で立ちすくんでいたが、オレと目があった瞬間、踵を返して走りだした。
『ちょっと…待って!』
オレも慌ててその後を追い掛けようとしたが…
ガラリ
突然後ろのドアが開いた。
『あ。五十嵐くん。明日の転校のことで話したいんだけど…ちょっと来てくれる?』
にこりと柔らかい笑みを浮かべた担任がそう話し掛けてくる。
『あ…はい…』
オレは心を追い掛けることができなかった。
でも…心のどこかで明日も会えるし…明日でもいいかな…?って、軽く考えている自分がいた。
その日、追い掛けなかったことを今でもオレは、後悔している。
まさか…次の日…心が卒業式を休むなんて…夢にも思っていなかった。