初恋図鑑【完】
ピタリ
颯太もその音に気付いて目を開けて茂みを見つめた。
『……拓真先輩…頭見えてますよ?』
ガサッ
『……ばっか…拓真のせいでバレタじゃない…良いところだったのに!!』
『……』
『てか、早苗先輩。声大きいです!!』
『……』
『いや〜オレが五十嵐に葉っぱかけたの大成功だな!』
『……』
『……先輩方…覗きなんて趣味悪いですね…いい加減出てきたらどうですか?』
にこりと笑う颯太は、目が笑っていない。
『あ、あはははは!!いや〜ね〜!人聞きの悪い!私たちは練習に来たのよ!?』
『そうそう。ね〜!翔!!』
『いや、オレは覗きにきた。そろそろくっつく頃合いだと思ってたし』
『……いや、なんというか…邪魔して悪い』
拓真先輩…一人だけズレてますよ…。
もうツッコミを入れる元気もなかった。