あなただけを愛したい
長谷川くんは、あたしが先生のことを好きだって知ってるし……


“彼氏ができた”って言ったら、先生だってバレる?


だからって、他に断る言葉が見つからない。



「柑那、貸して」



横から先生が手を出してきた。



「えっ?」


「携帯」


「ダ、ダメだよ!」



バレちゃう!



“誰かいんの?”



携帯から長谷川くんの声が聞こえる。



「あとで掛け直すから」



そう言って切ろうとしたら……



「ちょっ!」



いつの間にか車を停車させていた先生が、携帯を持っていった。



「おい、長谷川。もう柑那をデートには誘うな」



な、なんてことをっ!


バレちゃうよ!?



「ああ、そうだ……ん……じゃあな」



そう言って、先生がピッとボタンを押してから、携帯を手渡してきた。
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