あなただけを愛したい
「何で電話に出たの!?」


「んー、なんでかな」



またハンドルを握って、車を発進させながら、なぜか笑っているけれど……



「バレたらどうするの?」


「職失ったりして」


「……」



軽く考えすぎなんじゃ。



「先生」


「じゃねぇだろ?」



あ、そうだった。



「こ、航……」



名前を呼ぶだけで、顔が熱くなっちゃう。



「ん?」


「あたし、あと一ヵ月で卒業するんだよ?」


「知ってるよ」


「それまでは黙っとかないと」


「我慢できなかったんだよ」



我慢って?



「何を?」


「柑那と長谷川が話してること」



えっ……


話してること?



「かっこわりぃな。25にもなって、電話で話してるだけで嫉妬とか」


「……」



なんか……


そういうのって……


凄く嬉しい。
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