あなただけを愛したい
「ありがとうございます」



あたしが高鳴る胸を押さえながら言っている横で……



「下っぱって大変なんだなー」



なんて、田中くんが凄く失礼なことを言い出して。



「田中、おまえ覚えとけよ」



なんて、航も楽しそうに言ってるし。



「俺、今日で最後だし忘れるな、きっと」



日常会話なのかな。


航って、どの生徒とも友達感覚で話してるもんな。


男女問わず人気があるはずだよ。


楽しそうに話している二人を置いて、そのまま足を進めた。



「待てって!」



そう言いながら、田中くんはまた横に並んで歩き始めた。



「水島っておもしろいよなー?」


「え?……わかんない、もたれたことないし」


「マジ?俺、二年間教えてもらったけど」


「そうなんだ」
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