あなただけを愛したい
長谷川くんについていくと、いつかの空き教室へ。



「付き合い始めたんだ?」


「えっ」



聞かれることはわかっていたのに、単刀直入すぎて、動揺してしまった。



「電話に出たときはマジでビックリした」


「あ、あれはっ!」



航が勝手に出たというか……



「その格好で来てるってことは、水島にバレてもいいからだろ?」



この間“バレたくないから黙ってて”って、お願いしたんだもんね。



「……この間はドタキャンしてごめんね」


「ほんとだよ。“試供品はドタキャンできません”って言っときゃよかった」


「あは、やっぱ長谷川くんっておもしろいね」



あたしが困ってると、こうやって冗談混じりに言ってくれるとこが好きだなって思う。


もちろん、友達としてだけど。



「……俺さ、あん時何となく気付いてた」



あん時?



「何の話?」
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