あなただけを愛したい
キーンコーン……



「あ、予鈴だ。そろそろ戻らないと」


「ん、そうだな。俺、誰にも言ってねぇから安心しろよ?」


「え?」


「付き合ってること」


「うん、ありがとう」



長谷川くんはそんなことしない人だって、ちゃんとわかってる。


そういう人だから……


あの時、新しく恋を始められそうかなって思ったんだもん。








そのまま教室へ戻って……


そしたらすぐに式が始まって……


広い体育館の中に、卒業式にふさわしい涙を誘うようなBGMが流れている。


一人一人壇上に上がって、卒業証書を受け取る。


もうすぐあたしの番。



「…――土原柑那」


「はい」



そう言って椅子から立ち上がり、壇上へむかう。


途中航のいる方を見ると、航もこっちを見ていて……



ドキンッ――…



心臓が大きく跳ねた。
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