あなただけを愛したい
だから、あの表情……愛しいものを見るような表情は、反則なんだって。


心臓がどきどきしすぎて、ちゃんと歩けているのかわからなくなってきた。


それでも視線は壇上へ。




「…――卒業おめでとう」



そう言われて、卒業証書を受け取った。


自分の席に戻って、座る。


頭の中は、この高校に入ってからの“先生”とのことばかり。



生徒に混ざって、無邪気に笑いながら水遊びをしてる“先生”に一目惚れした。



廊下ですれ違うたびに、胸がどきどきして……


すれ違ったあとは、必ず振り返って“先生”の背中を見つめた。



椎名先生に雑用を頼まれるたびに、数学準備室へ足を運べると胸が高鳴った。


でもそこに姿がなかった時は、ひどく落ち込んだんだ。
< 133 / 453 >

この作品をシェア

pagetop