あなただけを愛したい
.


「そんなこともあるんだ。でも、身代わりでもいいって思えるほど好きだったなんて知らなかったよ」


「うん」



祥子に、航には本気になるなって言われていたから、言えなかったんだもん。


二人でそんな話をしていると……



「なんか、外騒がしくない?」


「うん、あたしも思ってた」



なんか、叫んでる人がいるっぽい。



「――…な……こい!」



卒業式だから、きっと羽目を外してるんだね。


祥子が野次馬心を駆り立てられたのか、教室の窓を開けた。


その瞬間――…



「柑那!出てこい!」


「えっ!?」



あたし!?


慌てて立ち上がって、窓から外を見ると……



「……っ!」


「柑那、誰?」


「……元彼」


「えっ!?」


「柑那!早く出てこいよ!いるんだろ!?」



最悪……


慌てて、教室を飛び出した。
< 137 / 453 >

この作品をシェア

pagetop