あなただけを愛したい
「あたしは戻さないって言ってるじゃん!」


「おまえが“別れたくない”って、泣き喚いたんだろうが!」


「だから!三年も前の話を出してこないでよっ!」



竜一とあたしが言い合っている横で、航が



「とりあえず、離れろ」



そう言って、もう一度あたしの腕を引いた。



「ひゃっ!」



思いっきり引いたせいか、航の胸にスッポリとおさまってしまった。


わっ、どうしよう!


航の胸を押して離れようとしたけれど……


えっ……


動かない。



「せんせっ!」



目の前の竜一だけじゃなくて、学校に残っている生徒達から、注目を浴び始めた。



「航、ヤバいって」



コソッと言うけれど、



「柑那は黙ってろ」



と、あたしにだけ聞こえるくらいの声で、静かに言った。
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