あなただけを愛したい
航はそう言うけれど……


ここは学校だし……


とりあえず今日は先生と生徒でいたいのに。



「航、……離して」


「えっ」


「今日で終わりだから、ちゃんと先生と生徒でいたい」



胸の中から航を見上げながら言うと、航は無言のままあたしを見ていたけれど……


すぐに腕の力を緩めて、あたしを離してくれた。


竜一の方へ向き直って



「あたしはもう、ヨリを戻す気はないから。竜一とは三年前に終わったの。今は他に大切な人がいるから」


「大切な人ねぇ……」



竜一はそう言いながら、航を一瞥した。


絶対に、バレてるっ。



「わかったよ。俺、負け試合する気ねぇし、もう退散するわ」



竜一は、そう言って背中を向けて歩き始めた。
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