あなただけを愛したい
「つか、柑那、何持ってんだよ?」



あ、そうだった。



「一緒に卒業アルバムを見ようと思って」


「卒業アルバム?」


「うん」



学校で祥子と見ていたら、結構航も写っていたから、一緒に見たいなって思ったんだ。



「じゃあ見るか」



そう言って、ソファーに座ってるあたしの隣に、航も腰掛けた。


一緒に見たいと言ったのはあたしだけれど……


アルバムを覗き込むという仕草は、お互いの距離があまりにも近すぎて……


航に意識がいってしまい、全然アルバムの写真たちが視界に入らない。


チラッと航の方を見ただけで……


胸がドキンッ―…と大きく高鳴った。


どうしよう……


どきどきが止まらないっ。



「柑那?」



何もしゃべらなくなったあたしを心配してか、航があたしの顔を覗き込んできた。
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