あなただけを愛したい
この距離で、覗き込まれると……


ほんとにヤバい。


一気に顔がかぁぁっと熱くなった。



「み、みないでっ」



慌てて顔を背ける。



「何だよ?気になるだろ?」



航と付き合い始めてから、いつもデートは車の中だったから、少し距離があった。


こんなに近づいたのは……


付き合い始めた日に、抱き締められて、触れるだけのキスをされた時と、今日学校で竜一から引き離された時の二回だけ……


だから……


こんなに近いと、どうしていいのかわからない。



「柑那?」



航はあたしの両肩を両手でつかんで、自分の方へ向けた。



「ヤ、ヤダッ……」



慌ててうつむく。


こんなに真っ赤に染めた顔を、見られたくない。
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