あなただけを愛したい
「こっち見て」



伏せていた目を、……ゆっくりと上げる。



ドキンッ……



こんなに間近で見ると……


どきどきしすぎて、胸が痛い。



「今思ってること、言ってみ?」



思ってること……



「――どきどきしすぎて……胸が痛い」


「はぁ?」



“はぁ?”って何?


あたし、変なこと言ったっけ?


“思ってること言って”って言ったよね?



「航がっ、近すぎるから、どきどきしすぎるのっ!」



そう口にしてから、自分の発言があまりにも恥ずかしいことだったと気付いて、またうつむいたけれど……



「……」



航も、何も言わない。


え、何で?


うつむいたまま、視線だけを上げる。



「えっ、……航?」


「わっ、見んなっ!」



そう言って、今度は航が顔を背けた。


航の顔も……


真っ赤だった――…
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