あなただけを愛したい
「ねぇ、柑那ちゃん。ここにいる航くんはね、今はすました顔して教師っつうのをやってっけど、俺らよりもっともっと悪いヤツだったんだからね」



えっ……



「余計なこと言うな!とりあえず今日は帰れよ!」



もっともっと悪いヤツ?


えっ、何?


どういうこと?


航もお友達もワーワー言いながら、言い合いしているけれど……


でも……


その声は、あたしの耳には届かない……


“もっともっと悪いヤツ”って、何?


そういえばさっき航が言ってた。



『あの頃の俺と出会ってたら、きっと今はないな』



これと繋がっているの?


わけわかんない。


気付いたら、騒いでいた声が玄関の方へ向かっていって……


目の前には誰もいなくて……
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