あなただけを愛したい
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そのあとすぐ、お父さんも帰ってきて、みんなでお祝いをした。


結婚が決まってからは、やっちゃんもよく夕飯を一緒に食べる。


お父さんのお酒の相手もするから、そんな日はうちに泊まっていくんだ。


お祝いがお開きになって、お風呂に入ったあと……


ベッドに寝転がりながら、携帯を眺めた。


航の番号を表示させては消して、そしてまた表示させる。


だけど、通話ボタンを押すことができない。


早く謝らなきゃって……


ちゃんと話を聞かなきゃって……


そう思ってるのに、なかなかそれを行動に移せない。


携帯を触る手を止めずに、ずっと同じことを繰り返していたら……


ドアのノック音と共に、お姉ちゃんが入ってきた。



「やっちゃんは?」


「今、お風呂。泰明のいない間に柑那の話聞かなきゃって思ったから」
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