あなただけを愛したい
静かな空間に“ピンポーン”という音だけが響く。


ガチャッという音に、体がビクッと反応した。


ドアが開かれると同時に……



「早かったじゃん……って、……あれ?違った」



という声。


航の声とは違う気がして、その人を見上げると……


だ、だれ!?


背の高い男の人が目の前にいるけれど、航ではない。


あたし、部屋を間違えた?


すぐに部屋番号を確かめるけれど、あってる。


えっ、誰?



「もしかして、……柑那ちゃん?」


「えっ!?」



何で知ってるの!?


あたし、この人のこと、知らないよ?



「やっぱりな。……あの写真とは違うけど、絶対にそうだと思った」



あの写真?



「あ、卒業アルバムのことね」



あたしがわからない顔をしていたからか、男の人はそう付け加えた。
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