あなただけを愛したい
「だから、泣かないで?兄貴が帰ってきたら、“おまえが泣かせたのか”とか言って、怒られそうだし。な?」



そう言って、頭をぽんぽんとして宥めてくれた。


その瞬間――



「おまえ、何してんの?」



えっ?



「わっ、兄貴!」


「柑那に触るなよ」


「ち、ちげぇよ!」



蓮くんは何も悪くないのに、航に怒られてる。



「航、……昨日は、ごめんなさい」


「柑那?」



蓮くんに向けていた体をあたしに向けて、ゆっくり近づいてきた。



「ちゃんと話を聞かなくて……ごめんなさい」



さっき涙がほろりと出てしまったからか、涙腺が緩んでいたせいで、さらに涙がぽろぽろと溢れてきた。



「柑那、謝んなくていい。ちゃんと話してなかった俺も悪いんだから」



そう言いながら、航はぎゅっと抱き締めてくれた。
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