あなただけを愛したい
その瞬間、航が離れた。



「やべっ」



そして、顔も背けた。


乱れた呼吸を整えながら……



「航?」



顔を覗き込むと……



「わっ、柑那見んなっ!」



そう言って、もっと顔を背けた。


そんなことをされると……


もっと、見たくなる。


相変わらず、向こうを向いたまま隣に座っている航の前から、顔を覗き込もうとすると……


バランスを崩して……



「わわわわっ!」



航の足の上に座るような形になってしまった。



「あはは、何やってんだよ」


「ご、ごめん!」



慌てて降りようとすると



「離さねぇよ」



と言って、ぎゅっと抱き締められた。



「ヤ、ヤダ!恥ずかしいっ」


「誰も見てねぇじゃん」



そうだけど……


やっぱり恥ずかしい。
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