あなただけを愛したい
相変わらず激しく動く心臓を抱えながら、両手を航の肩に添える。


どうしよう……


凄く、緊張する。


だって……


さっきから航が、一度もそらすことなくあたしの方を見てるんだもん。


それだけで……


身体が熱くなる。



意を決して、航の唇にキスを落とそうとした瞬間……



ガチャッ…



「ただいまー」


「わっ!」



慌てて航から離れようとしたら、航の足から落ちてしまった。



「…イッ、タ…」


「おい柑那、大丈夫か?」



そう言って、航が身体を起こしてくれたけれど……


恥ずかしいっ!


絶対に見られたっ!


航はあたしをソファーに座らせてから、



「蓮、邪魔すんなよ?」


「はは、わりぃわりぃ」



蓮くんは笑いながら言っているけれど……


あたし、凄く恥ずかしいじゃん。


だって航の足の上に座っていて、しかもキスをしようとしてたんだよ!
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