あなただけを愛したい
机の上に教科書や参考書を広げて、表向きは勉強してるように見せている。


でも実際は……


ここから先生を眺める毎日。



「勉強、してるよ?」


「……そうか?外見てる時間の方が長い気がするけど」


「……」



あんまり、そういうこと、突っ込まないでほしいよ。


居心地が悪い。


机の上の教科書や参考書を片付けて、



「あたし、帰るね」



窓の外を一瞥してから、教室を出た。


田中くんは“送っていく”と言ったけれど、田中くんから離れたかったから帰ることにしたのに、そんなことされたら帰る意味がない。


だから、丁重にお断わりした。
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