あなただけを愛したい
「ふふ」



横で紗羽さんが笑いを堪えていたらしく……


我慢できなかったのか、声をもらした。



「紗羽さん?どうしたんですか?」


「ふふ、ごめんごめん。こんな航くんは初めて見るから、……ついね」



こんな航?


って、どんな航?



「確かに、俺も初めて見る」



蓮くんも初めて?


一緒に育ってきた蓮くんも見たことない航の姿って……



「“こんな”って、どんな姿?」


「……柑那は知らなくていい」


「えーっ!何で!?あたしだけ知らないなんてヤダ!!教えてよっ!」



そう言いながら、航の腕をつかんで揺すってみる。


どことなく、航の表情は冴えない。


蓮くんが笑いを堪えながら



「兄貴、教えてやれば?」



なんて言ったけれど……
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