あなただけを愛したい
「……蓮、そろそろ時間じゃねぇの?」



時間?



「ほんとだ。残念だな、いいもんが見れそうだったのに。なぁ紗羽?」


「ふふ、うん、凄く残念」



二人は楽しそうに話しているけれど……


なんのこと?



「じゃあ、そろそろ行くよ」



そう言って、蓮くんと紗羽さんが立ち上がった。



「えっ、帰るの?」


「ん、これから式場へ行かなきゃならないんだ」



式場?



「結婚式場?」


「そうそう」



そういえばお姉ちゃん達も、休みの度に忙しそうにしてるもんな。


玄関を出る時に、蓮くんは笑みを浮かべながら



「さっきの続き、頑張ってね」



と言い残して、帰っていった。


その時のあたしは、口をパクパクさせて……


真っ赤になっていたに違いない。
< 193 / 453 >

この作品をシェア

pagetop