あなただけを愛したい
「柑那?どうした?」


「なんか、落ち着かない」


「何で?」


「だって、……卒業したとはいえ、端から見たら“先生”と手を繋いでるわけでしょ?」



こんな街中で、同じ高校の生徒に会う確率って、凄く高い気がするんだもん。


航に想いを寄せている生徒に出会ってしまったら……と思うと、ほんとに落ち着かない。



「俺は隠す気ねぇから。生徒に手ぇ出したとか言われてもかまわねぇよ」


「……」



そんなんじゃないのに……


航は、生徒だったあたしを見ていたわけじゃない。



「柑那、映画でも観るか?」


「えっ?」


「始めからこんな人混みに入るのは、急ぎすぎたかもな。とりあえず映画館に入れば、気になんねぇだろ?」


「……うん」
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