あなただけを愛したい
航はあたしの気持ちもちゃんと考えてくれる。


“隠す気ねぇから”って言ったくらいだから、航はこうやって歩くのも全然平気なはずなのに。



「ごめんね」



かなり小さな声で、ボソッと呟いた。


なのに、航にはちゃんと届いていて……



「謝るなよ」



そう言いながら、頭をそっと撫でてくれた。


映画館に着くと、ちょうど始まりそうなものがあったから、それを観た。


ラブストーリーが少し入ったSF映画。


映画の内容にもかなりどきどきしたけれど……


それよりも、あたしの手をそっと包んでくれている、航の手のぬくもりにも……


どきどきと胸が激しく音を立て続けた。



途中からは、握っている手に意識がいきすぎて……


頭の中に映画の内容がほとんど入ってこなくなった。
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