あなただけを愛したい
.



「ねぇ柑那」


「ん?」



珍しくトーンを落として話し掛けてきた祥子に、何かあったのかと心配になる。



「柑那って、……好きな人いるの?」


「えっ?」



突然のことに、目を見開いて祥子を見る。



「三組の田中くんが、あたしにいろいろ聞いてきたんだよね」



アイツ……


ただしつこいだけじゃない。


あたしの親友まで、巻き込まないでほしいよ。



「どうなのよ」



いつか、話したいって思っていた。


最初に言うタイミングを逃してしまったせいで、時間が経てば経つほど言えなくなってしまったんだ。


これはいい機会なんじゃ……



「祥子、今日の放課後時間ある?」


「えっ、あるけど」


「ちゃんと話したいから、その時に話す」


「うん」
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