あなただけを愛したい
「柑那、ここから見えるのってサッカー部と陸上部だよね?」



コクンと頷く。



「どっち?」


「……サッカー」



あたしがそう言うと、祥子は窓から外を見渡した。


あたしもつられるように、外を眺める。


先生が生徒と一緒になって、グラウンド内を走り抜ける。


たぶん、今は休憩時間。


あたしが好きになった姿。


生徒と一緒に、無邪気な笑顔を振りまきながら、戯れる先生。


あの笑顔にきゅんとなる。


好きだなぁって思う。


あたしも自然と笑みがこぼれた。


祥子はそんなあたしを見ながら



「……もしかしてさ、先生とか言わないよね?」



えっ……


言っちゃダメなの?


そんなふうに言われると、言葉に詰まる。


そんなあたしを見て、先生のことが好きだと確信したのか、祥子は真剣な表情で口を開く。



「水島先生はやめときなよ?」



なんで?



「見てるだけだもん!」


「ほんとに見てるだけ?」



どうして、そんなことを聞くの?
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