あなただけを愛したい
そのまま……


後ろにあるドアに手を掛けて、逃げるように脱衣場を出た。



「おいっ、柑那!待てよっ!」


「一緒に入らないもん!」



そう言って、ベッドの布団の中に潜り込んだ。



「柑那、顔出せよ」


「ヤダ」



一緒に入るなんて、絶対に無理っ!



ギッ……



航がベッドに座ったのか、少し沈んだ。



「柑那、もう何もしねぇから顔出せって」



何もって……


キスも?


ぎゅって抱き締めてもくれないの?


それは……


ヤダ。



しばらく沈黙が続いたあと……



「はぁ…」



という航の溜め息が聞こえて……



「俺、シャワー浴びてくるから」



そう言って、航は部屋を出ていった。



溜め息……


呆れられたのかな。


嫌になっちゃったのかな。
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