あなただけを愛したい
航の腕があたしの腰に回って……


触れた瞬間……


背中の辺りがゾクゾクッとして、身体が固まってしまった。



あたしは……


なんて大胆なことをしたんだろう――…


でも――



「航、……好き」


「俺も、柑那が好きだ」



そう言った航の抱き締める腕に力がこもった。



「柑那」


「ん?」


「俺、……やべぇわ」


「は?」



航の胸に預けていた顔を離し、航の顔を見上げる。



「航?」



航の頬がほんのり赤くて、濡れた前髪の隙間から覗く綺麗な瞳が、揺れるように動いている。



「何が、……ヤバいの?」


「……わかんねぇの?」



えっ、あたしにわかることなの!?



「何もかもが、やべぇ」



“何もかも”?
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