あなただけを愛したい
ヤバいことが、そんなにたくさんあるの?


また航の胸に頭を預けながら、何がヤバいのかを考えるけれど、さっぱりで……


目を閉じながら、航の胸に耳をあててリズムのいい鼓動を聴いていた。


落ち着くなぁ……


さっきの恥ずかしさなんて忘れて、ただ心地よくなっていた。



しばらくそうしていたら



「柑那」


「ん?」


「……こっち見て」



その声に、瞼をゆっくりとあげてから、航を見上げる。


航もこっちを見ていて、航の前髪からあたしの肩や胸元へポタポタと雫が落ちる。


なんか、凄く綺麗……


男の人に綺麗だなんて、使い方が違う気もするけれど……


でもやっぱり、“綺麗”が一番当てはまる。



「……」


「航?」



呼んだくせに、何も言わないし、表情も変わらない。
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