あなただけを愛したい
「溜め息?……吐いたっけ?」


「はぁ?」



何で忘れてるの!?


あんなに胸を痛めた出来事だったのに!



「あたし、あれのせいで、……凄く泣きそうだったのにっ」


「……」



航を見上げると、バツが悪そうな顔をしていて……



「ごめん。……全く、覚えてねぇ」



そう言いながら、腕枕してない方の手で頭をガシガシと掻いている。


なんか泣きそうになって、歯を食い縛りながら顔を背けた。



「柑那、こっち見て」



無理だよ……


航の顔を見たら、絶対に涙がこぼれる。


自信ある。



「柑那?」



なんか、あたしって……


子供みたい。


航は七才も年下のあたしで、ほんとにいいのかな。


航の年くらいの女の人なら、もっと大人で綺麗で素敵な人がいっぱいいそうなのに……



ていうか……


航って……


今までどんな人と付き合ってきたんだろう……


凄く、気になる。
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