あなただけを愛したい
眉を下げながら言う竜一に、返す言葉が見つからない。



「あれから後悔ばっかだよ」


「あれから?」



竜一があたしをじっと見据えて



「この間振られてからだよ」



この間って、卒業式のこと?



「何であん時別れたんだろうってさ。柑那はあんなに俺を好きでいてくれたのにな」






竜一からの別れは突然だった。


確かにあの頃は、喧嘩が絶えなかったんだ。


“同じ高校受けよう”という竜一に、あたしが拒否した。


ほんとはあたしだって、ずっと竜一といたかったし、傍にいられたらって何度も思った。


でも……


あたしはどうしても“服飾デザイン科”に進みたかった。


あたしが入ろうとした高校には普通科もあったけれど、竜一の成績じゃ入るのが難しかったんだ。
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