あなただけを愛したい
中にいたのは、準備された席数の半分くらいの人。



「おまえら、まだ付き合ってんの?」



中から飛んできた声。


竜一とあたしが付き合っていたことは、クラスのみんなはもちろん、全校生徒が知ってたんじゃないかってほど、有名だった。


竜一は学年とか関係なく、物凄くモテていたから。



「柑那、久しぶり!」


「あっ、咲季(サキ)!」



振り返るとすぐそこに、中学の時の一番の親友、市川咲季が立っていた。


咲季とは、一ヵ月に一回くらいは会っていたんだけど、年が明けてからは、お互いに忙しくて一度も会ってなかった。


でもビックリすることに、学部は違うけれど、進む短大が一緒だった。


だから、余計に会うことを急がなかったのかもしれない。
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