あなただけを愛したい
「咲季は?」


「あたしはこの先のコンビニ」


「え、そうなの?じゃあ、あたしもコンビニにしてもらう」



航に連絡しなきゃと、慌てて携帯を手にしたけれど……



「柑那」



お店の前に横付けされた車から聞こえた声。



「あ、もう来ちゃった」



車に歩み寄ると……


航が降りてきた。



「飲んでない?」



そう言いながら、あたしの顔を覗き込む。


その仕草に、顔がかぁぁっと熱くなる。


付き合い始めて、もう一ヵ月経つのに、こういうことには全く慣れない。


顔を背けながら



「だから、飲まないって」



と言ったけれど……


あたしの頬を両手で包んで、上を向かせた。



「な、なに!?」


「動きが怪しい。それに、少し赤くねぇ?」



そ、それはっ、航が顔を覗き込んできたから赤くなったもので、決して飲んだ訳じゃない。
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