あなただけを愛したい
「ち、ちがうよ。航が顔を覗き込むから恥ずかしくなっただけじゃん」



って、……バラしちゃったよ。



「はは、そっか」



航はあたしの言葉に満足したのか、いつものように頭をそーっと撫でてくれた。



「あたし、お邪魔?」



いつの間にか二人の世界に入っていたらしく、咲季の存在を完全に忘れてた。



「わっ、咲季!ごめん!」


「ふふ、いいよ。柑那、紹介してよ」


「うん」



こうやって、航のことを彼氏って紹介できるなんて……


夢みたい。



「さっきは何も聞けなかったから、柑那の彼氏に会えてよかった」


「だよね、あたしも咲季にいっぱい聞いてもらいたいことがあったのに」


「竜一くんのせいだね」



うんうん。


全くその通りだと、あたしも大きく頷く。
< 264 / 453 >

この作品をシェア

pagetop