あなただけを愛したい
こ、怖いっ!


航が喧嘩をしたところは見たことがないけれど、暴走族の頭をしていたくらいだから、きっと強いんだろうな。


って、喧嘩はしちゃダメだよっ!



「いい大人なんだからさ、もっと余裕持ったら?」



竜一が煽るように言うけれど、それ以上言わないほうがいいよ。



「とにかく離せって」



そう言って、航はあたしの腕を引いて、自分の胸におさめた。


なぜか今回は、すぐに離してくれた。



「俺は、無理矢理奪ったりしねぇよ。柑那は、……いつかきっと俺んとこにくるから」



は?


何、その自信は。



「わけわかんないんだけど」


「まだ、わかんなくていいよ」



ほんとに、わかんない。



「じゃあ、俺行くわ」



そう言って、竜一は背中を向けて歩いていった。


ほんとに、なんなの、アイツは。
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