あなただけを愛したい
卒業してもう一ヵ月以上経つのに、いまだにこんなことを考えているなんて、おかしな話だけれど……


でも、航がどれだけ生徒に人気があったか知っているから。


その子達の気持ちが凄くよく分かるから。


手を繋いでいるところなんて見たら……


やっぱりショックだと思う。



「柑那?」



ずっと下を向いて考え込んでいたからか、航が心配そうにあたしの顔を覗き込んできた。



「どうした?気分悪ぃ?」


「ううん、大丈夫だよ」



そう言って、繋いでいた手を離し、航の腕に自分のそれを絡めた。



「今日の柑那は積極的だな。もしや観覧車の中で、俺を襲う気か?」


「はぁ!?そんなわけないじゃん!」


「あはは、冗談だよ」



冗談……


またからかわれた。


そして、笑われた。
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