あなただけを愛したい
部屋の鍵を開ける航の姿を、寝起きだからかボーッとしながら見つめる。



「航」



えっ……


あたし、今、何も言ってないよね。


いくら寝起きだからって、自分がしゃべったか、しゃべっていないかくらいはわかる。


でも、今のって……


女の人の声。


目の前の航が振り返って、きっとその女性の姿をとらえた。


航の目が大きく見開かれた。


その視線の先にいるのは、……誰?


怖くて振り返れない。



「航、久しぶりね」


「……茜(アカネ)」



茜?……誰?


カツカツとヒールの音を響かせながら近づいてくる。


ねぇ航、その人は誰?
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