あなただけを愛したい
「柑那もいろよ」


「……」



そんなの無理に決まってる。


航の子を産んだって……


元カノなんでしょ?


そんな人といられるわけがない。


話だって、聞きたくない。



「ごめん、帰る」



航の手を振り払って、その場を駆けだした。



「柑那っ!」



そう呼ばれたけれど……


そのあと、航が追い掛けてくることはなかった。








外はもう真っ暗だった。


今の、あたしの心の中と同じ色。


涙がとめどなく溢れてくる。


あの話がほんとだったら……


あたしはもう、航とは一緒にいられない。



トボトボと歩きながら、お姉ちゃんに電話をかけた。


お姉ちゃんは、ちょうどやっちゃんと一緒にいて、すぐに迎えに来てくれた。


やっちゃんの車の後部座席に座ったら、ますます涙が止まらなくなった。



「柑那?」



助手席に座るお姉ちゃんが心配そうに声をかけてくるけれど、それに答えることもできなかった。
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