あなただけを愛したい
距離
家に着いて、そのまま自分の部屋に駆け込んだ。


ずっと涙が止まらない。


もし、茜さんの言ったことがほんとなら





きっと……


別れを告げられる。





ヤダッ!


ヤダよっ!


別れたくないよっ……



「…うっ……くっ…」



航……


そんな子知らないって言って。


俺の子じゃないって言って。


お願いだから、あたしから航を奪わないで――…







いつの間にか、眠りに就いていたみたいで……


目が覚めた時には、窓の外がうっすらと明るくなっていた。


あー、瞼が重い。


きっと、ひどく腫れてる。


そーっとキッチンへ足を運んで、冷凍庫の中から保冷剤を出す。


顔を洗ってから、それをハンカチに包んで腫れた瞼に当てた。



「つめたっ」



そのまま部屋に戻ったけれど、シーンとした空気が、昨夜の出来事を鮮明に思い出させた。
< 284 / 453 >

この作品をシェア

pagetop