あなただけを愛したい
.


あのあと二度寝をしたらしく……


目が覚めたら、もうお昼近くだった。




コンコンッ…



「柑那、入るよー」



そう言って入ってきたのは、お姉ちゃん。



「わっ、またひどい顔!」


「……」



やっぱりひどい顔をしているんだ。


明け方、顔を洗った時も、かなりひどかったもんな。


少し冷やしたくらいじゃもとには戻らないよね。



「今度は何があったの?話聞くよ?」



お姉ちゃんは、いつもあたしの変化を見逃さずに、こうやって聞いてくれる。


あたしもお姉ちゃんには何でも話せちゃう。



「もう、……ダメかも……っ」


「何の話?」


「たぶん、別れる」



頭の中じゃ何度も繰り返していた言葉。


それを口にすると、また涙が溢れてくる。



「別れるって、……先生と?」


「うん」



お姉ちゃんの目が、これでもかってくらいに見開いている。
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