あなただけを愛したい
「何で?先生も柑那のことを凄く好きだったじゃん。大切にしてくれそうだったじゃん」



うん、確かに、好きでいてくれてるし、大切にされてるって感じる。



でも――



「航に、子供がいたのっ……」


「えっ!?」



さらに見開いたお姉ちゃんの目。


もともと大きな目だから、今にも目玉が飛び出しちゃいそう。



「航は、知らなかったみたいだけど」



ほんとに航の子供なら、子供のために一緒にいるべき。



そしたらあたしは――…





また、涙がぽろぽろと溢れてきた。



「柑那、……あたし、掛ける言葉が見つからない。ごめんね、力になってあげたいのに」



大きく首を横に振る。


あたし、お姉ちゃんのこういうところが好き。


気休めの言葉を掛けるんじゃなくて、ちゃんと正直な気持ちを言ってくれるところ。
< 288 / 453 >

この作品をシェア

pagetop