あなただけを愛したい
「今日ね、泰明と海を見に行こうと思ってんの。柑那も一緒に行く?」



一人で家にいても、きっと考えすぎて泣いてばかりになる。


それに、部活を終えた航がやってくるかもしれない。


今は……


まだ会いたくない。


まだ気持ちの整理がつかない。



「一緒に行ってもいいの?邪魔にはならないの?」


「ふふ、いまさら何言ってんのよ。あたしと泰明が付き合いはじめた頃から、邪魔してんじゃん」



やさしく笑いながらそう言うお姉ちゃんの言葉に、心がぽわっと温かくなる。


でも、確かにそうだったなぁ。


いつも金魚の糞のように、お姉ちゃんのあとを着いていっていた。



「じゃあ、行く!」



そう言って、バッグに着替えや、明日の講義に必要なものを詰め始めた。
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