あなただけを愛したい
どれだけそうしていたのか……


やっと涙が止まって、お姉ちゃんから離れた。



「ごめんね……デートだったのにね」



そんなことわかっていて着いてきたくせに、いまさら邪魔したことに罪悪感が出てきた。


一人でいたくなかっただけで、この二人を巻き込んでしまって……



「やっぱりあたし、今日は帰るよ。やっちゃん、あとで送って?」



そう言ってやっちゃんを見上げたけれど、今日初めてやっちゃんの顔をちゃんと見た気がする。



「……柑那、今日は泊まっていけよ。おまえ、一人でいない方がいい」



ほら、やっぱり……


やっちゃんならそう言うと思ってた。


だってやっちゃんは……


あたしのお兄ちゃんなんだもん。
< 293 / 453 >

この作品をシェア

pagetop