あなただけを愛したい
やっちゃんの顔を見ていたら、また涙が溢れてきた。



「ほら、泣くな」



そう言って、やっちゃんはあたしの後頭部に手を添え、自分の胸に引き寄せた。



「うぅ……」



お姉ちゃんも、やっちゃんも、優しすぎるよ。


こんなに優しかったら、必要以上に甘えちゃう。






そのあと、しばらく波打ち際を歩いてから、すぐにやっちゃんのアパートへ帰ってきた。


あたしが泣きすぎてひどい顔をしているから、外で食べることもできなくて。


お姉ちゃんが夕食の準備をしてくれている間、やっちゃんと二人でテレビを観ていた。


テレビは観たくて観てる訳じゃなくて、ついてるからって感じで……


今この状況で、やっちゃんと何を話せばいいかわかんないし、テレビを観ている振りをしていた。


でもやっちゃんには、そんなことはお見通しだった。
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