あなただけを愛したい
「柑那、明日講義が終わったら、ここに帰ってこいよ。合鍵渡しとくから」


「えっ、何で?」



やっちゃんはあたしの表情をうかがうようにじっと見ながら



「ちゃんと話を聞いてねぇんだろ?」


「何の話?」


「彼氏の話だよ。もしかしたらおまえの早とちりかもしれねぇじゃん」


「……」



そうかもしれないけれど……


茜さんの言葉、あの切ない表情を見ていたら、あれはほんとなんだと思う。



「俺が一緒に行ってやるから。……良い結果にしろ、悪い結果にしろ、ちゃんと話してこい」


「……」


「柑那?おまえ、彼氏のことが好きなんだろ?」



コクンと頷く。



「じゃあ、明日行くからな。はいこれ、渡しとく」



そう言って、合鍵を手渡された。
< 295 / 453 >

この作品をシェア

pagetop