あなただけを愛したい
「で?何があったの?話くらい聞くよ」


「うん」



一昨日航のアパートの前で目にしたこと、耳にしたことのすべてを有希に話した。



「なんか、レベルが違う」



半ば放心状態の有希。



「は?レベルって何?」


「だって、あたしらくらいの年の恋ばなで、まさか、“あなたの子を産んだの”なんて話は出てこないでしょ」


「……」



確かに……


でもだからこそ、悩むというか、どうしたらいいのかわからないというか。



「で?逃げてきちゃったの?」


「うん。だって、あの元カノ、凄く綺麗な人だったんだもん」


「ん、そっか。でもさ、柑那……」



有希が急に真剣な表情になって、あたしの顔を覗き込んできた。
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